最初から最後まで、ず〜っとあったかくて優しい世界観。トニー・ガトリフ監督の温かな眼差しがそのまま作品になっているようだった。なんて素敵なデビュー作。ロマ作品ではないけど流れ着いた人々の話。
ラストシーンは鼻の奥がツンとしたなぁ。
好きだー、ガスパール!と叫びたくなったよ。私もワンコのように彼について行きたい。
辛い過去を背負ったガスパールとロバンソン。ある日、ロバンソンは可哀想な人を見過ごせず、家族に捨てられたお婆ちゃんを拾ってきてしまう。3人はそこで共に暮らし、食堂を開こうとする…。
3人の奇妙だけど優しい関係、南仏の海風、カラフルな椅子、夜中に人の家に忍び込んで食べて笑い合う2人、ピンクの凧、浜辺を走るトラック…どれもこれも愛おしい。
ミシェル・ルグランのフラメンコ調な音楽もよかったなぁ。
南仏の何もない浜辺もよかったなぁ。
貧乏なのに明るい彼らに救われたなぁ。
いろんなことが説明もなく、ありえない話ではあるんだけど、そんなことどーでもいーよねと映像が語りかけてくる。トニー・ガトリフ監督の描写がいちいち好きです。
こんな風に人と人がつながれるのは理想型だろうし、貧しくたって心は自由でハッピーでいられるなんて実際には難しい。だからこそ、前向きなメッセージとして受け取りたい気がする。だって映画だもん!
こういう作品と出会いたかったんだと、なんだか妙に個人的に刺さったのでスコア高めです。彼らにまた会いたくてDVDを購入してしまいました。