2004年の映画だったけど、20年後の今観てより意味のある映画になっていたと思う。
結局のところ、ヴェラを責めたり、裁いたり、許したりしているこの男ども中心の世界とそのシステムのおかげで、女性たちがひたすらに犠牲になっているわけで、2024年的な視点で観ると、この中で描かれている自身の生業や戦争やセックスにしか興味のない男どもは全員まったくいい気なもんだな感が否めない。
冒頭から最後まで、彼女が忙しなく家族や隣人のために働く姿も、世話好きなおばさんというよりも奴隷的で、より多面的な意味で『犠牲者』として、目に映ってしまった。
途中何度か聞こえてくる彼女の鼻歌によって受ける無自覚性も、また同様に多面的な印象。
映画の中盤から後半に長い時間を使って描かれる逮捕から取り調べを経ての裁判シーンも、丁寧で良かったし、くすんだグリーンを基調とした映画全体の色使いも良かった。
あの電球がちゃんと点くかどうかチェックしている仕事は映像として初体験だったので、面白かった。