Mikiyoshi1986

宮本武蔵のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

宮本武蔵(1961年製作の映画)
3.7
三國連太郎さんが他界されてから、今日でちょうど5年が経過。

晩年はもっぱらスーさんの温厚イメージが先行しますが元来は日本映画界きっての役者馬鹿としても知られ、その逸話は数知れず…!
彼の演技に対する哲学は、その役柄に並々ならぬ説得力と存在感を与えます。

その最たる作品とも言えるのが、内田吐夢監督の美学が詰まった中村錦之助主演の東映時代劇『宮本武蔵』第一部。
(同じ原作を井上雄彦が漫画化した『バガボンド』では1~2巻に相当)

内田は三國の演技力を大いに買っていて後に名作『飢餓海峡』なんかも生み出しましたが、
本作に関しての三國は主役錦ちゃんを食うほどの存在感を発揮しております。

吉川英治の小説『宮本武蔵』を映画化した本作は、錦ちゃんが宮本武蔵を、三國が武蔵に成長を促す僧侶・沢庵坊主を担当。

関ヶ原の戦いに敗れ、同郷の友・又八は女とトンズラこいて、命辛々逃げ帰った故郷で武蔵は無頼の徒と化します。
野性感極まる武蔵を全身で表現する錦ちゃんはまさに野獣そのもの!

そんな野獣の調教師として、本当の「強さ」を諭す沢庵坊主。
ただ者ならぬ落ち着きと明朗な振る舞いで、破天荒な人格者を三國が体現します。

また当時新人だった入江若葉もその初々しい佇まいが素朴で穏和で、可愛らしいお通のイメージに一役買ってくれています。

又八の卑怯具合とか、ばば様の憎たらしさももちろん見処。
剣豪・宮本武蔵は如何にして創られたのか!

もうすぐ内田吐夢の誕生日も近いので、次回作『般若坂の決斗』のレビューはその時にでも!
Mikiyoshi1986

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