chunkymonkey

ウェディング・バンケットのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

ウェディング・バンケット(1993年製作の映画)
4.0
ゲイの偽装結婚が巻き起こす騒動を描いた爆笑でほっこりのドタバタ・コメディ。これを撮ったのは驚くなかれ、「ブロークバック・マウンテン」のアン・リー監督です🙂え、全然テイスト違うやん(笑)。いや、でもふざけているようでやっぱり結構深い素敵な作品でした。1993年のベルリン映画祭金熊賞受賞作。

台湾系アメリカ人の青年ウェイトンは、NYで恋人サイモンと暮らしている。遠く離れた台湾からお見合いを執拗にせまる両親に嫌気がさしていたが、父親が病気になったことをきっかけに、彼らを安心させるためにグリーンカードが欲しいウェイウェイと偽装結婚することに。すると、大喜びした両親が突然渡米してきて...

特に前半はコメディが冴えわたっていて、普通にめちゃ笑える。後半はどちらかというとほっこりドラマ色が強くなり、A24の「フェアウェル(2019)」を彷彿とさせます。こっそり監督のカメオ出演あるよ。

伝統的価値観に基づいた固定観念の弊害がテーマなのですが、その描き方がうまい。主人公の両親は全く同じ状況で同じ感情を味わっていくにも関わらず、この「固定観念」への囚われ方の違いにより最後の最後に父と母で明暗が分かれる。皿洗いなど微妙にヒントを出しているのも憎いし、主人公ウェイトンも結局「父」はこう反応するだろう「母」はこう反応するだろうと固定観念に基づき真逆の判断をしてしまい、それが映画のビター・スウィートな味わいになっている。

もう一つの大事な要素として固定観念に囚われないこと以外に「よく相手を理解すること」が挙げられていますが、それをそのまんま表現するのではなく、"言語の理解"を通して暗喩的に描いているオシャレさは、やっぱり「ブロークバック・マウンテンの人よなぁ」となりました。ストーリーもドタバタ・コメディなので割とめちゃくちゃなんだけど、後で思い返すとさらっと歌われる蝶々夫人が予言になってる!

それにしてもねぇ、中国式(台湾式?)の結婚式のノリには絶対ついていけない。これこそ「不適切にもほどがある!」やで(観てないけど...)。見てるだけで、ホントこれ勘弁してほしいってなりました🤣

予告編
https://www.youtube.com/watch?v=5kVkRhXt3S4
chunkymonkey

chunkymonkey