水上勉の同名小説が原作。純情過ぎる竹職人喜助と遊女玉枝の悲恋。しっとりとした小説を読みたいと思っていたのに、先に映画を観てしまった。
悲話なのに、さばさばした印象は、玉枝演じる若尾文子さんのさばけ…
今作は撮影技術が素晴らしい。白黒のフィルムは人間よりも自然の方が映えると思っている。今作に出てくる竹やぶや草木、淀川、決して廃れないうつくしさ。膨大な自然と音楽だけで不穏な空気を作り出す。そして 若…
>>続きを読む過去の祟り
過去は影をひきつづけ、後を追ってくる
若尾文子の着物の着こなし、仕草、タバコの吸い方、ハンカチで顔を拭う仕草、声の抑揚、トーン、声色、京都弁、歩き、座り、立ち、泣き、笑い、映画的俳優技…
嫁より、竹。
亡くなった父の後を継ぎ、毎日一人でせっせと竹細工に勤しむ喜助の元に、玉枝という若い女性がやってくる。彼女は父がかつて贔屓にしていた遊女。そんな玉枝に一目惚れした喜助は、武生から芦原に…
きめ細やかなうろこ雲に、雪の積もった竹林、晴れた日に風がそよめく木々。
霧がかって灰色のうっすらとした膜がスクリーンを包み、墨色の竹林など、重々しい雰囲気である。
美しくも厳かな風景のショットに、心…
自分自身が望まない強姦のような性行為であったとしても授かった生命を堕胎した罰が夫婦を破滅させたのか。
不自然な関係を継続し続けた男の罪が二人を不幸にしたのか。
夫の不自然な対応から欲望を抑えきれなく…