オーウェン

越前竹人形のオーウェンのレビュー・感想・評価

越前竹人形(1963年製作の映画)
4.3
この映画「越前竹人形」は、主演の若尾文子の、なんともけだるく、妖しい魅力に圧倒される作品だ。

着物の着こなし、帯、首すじ、柔らかなおくれ毛、裾からはみ出た脚、白い足袋-----何もかもまぶしいくらいの美しさだ。

遊女上がりの妻の所在なさと官能的な悶えが、モノクロの画面に漂う感じさえしてくる。

水上勉の原作、吉村公三郎監督で、薄幸のヒロインと竹細工に打ち込む青年の狂気の愛を描き、胸に切々と迫るような悲劇が綴られていく。

若尾文子の淫らなと言いたいくらいの身のこなし方、そのエロティックな風情に、すべてのドラマが吸い込まれていくような印象すら受けてしまう。

長い白い道をさまよい、川べりに出て、小舟の中に倒れ込むまでの、彼女の苦悶の身振りが、痛ましく美しい。
オーウェン

オーウェン