ハレンチ学園在学生

越前竹人形のハレンチ学園在学生のレビュー・感想・評価

越前竹人形(1963年製作の映画)
4.2
久々に再見して評価を改めた。DVDの特典映像で若尾文子が語っていたが本作の「功績は宮川一夫のキャメラによる」。真夏の京都の郊外でセットを組み、雪降る真冬の映像をつくり込んだというのも当時の撮影所の力量を感じる。初見時はただただ西村晃の嫌な男ぶりが際立っているとだけ感じたが、全体を通して脚本がよくできており、優れた映画と思い直した。ラスト近くに船頭役としてちょこっと顔を出す中村鴈治郎(わりと重要な役柄だが)のことはすっかり忘れていた。山下洵一郎の喜助が、父親が通っていた遊郭の玉枝(若尾文子)を見初め夫婦になるも、父親との関係性と早くに母親を亡くした喪失感から母親としてしか愛せないと告白する件は、あまりにフロイト的過ぎて苦笑してしまうが、それはともかく、せっかく「本当の夫婦」になりかけたところを待ち受ける悲劇には、ドラマツルギー的にそうならざるを得ないのだろうなあと妙に得心してしまった。匂うような若尾文子の美貌にため息が出る。