浅野公喜

ジャズ・シンガーの浅野公喜のレビュー・感想・評価

ジャズ・シンガー(1980年製作の映画)
3.6
世界初のトーキー映画のリメイクで、日本では知名度が低いものの北米では大御所の歌手ニール・ダイヤモンド主演のサクセスストーリーを描いたドラマ。監督は職人で知られるリチャード・フライシャー。

タイトルはジャズと銘打っているものの歌うのはポップス寄りで、序盤で黒人歌手達に混じって顔を黒塗りにして歌う姿はオリジナルのアル・ジョルソンまたはラッツ&スター風(今日では難しい演出?)。ローレンス・オリヴィエ演じる敬虔なユダヤ教信者である父親との確執を丁寧に描く一方で前妻の扱いが雑だったり、歌手としてはとんとん拍子で人気を得ていく為ドラマとしてはあまりにオーソドックス過ぎるきらいが有りますがニールのペンによる曲の良さが上手く弱点をカバー。

特にオープニングとエンディングを飾る高揚感溢れる「America」は出色の出来で前者の人種の坩堝NYでひしめく様々な人々の姿、後者ではコンサートの大観衆の中で歌うニールの姿に凄くマッチ。晩年のプレスリー風のキラキラ衣装にはやや閉口ですが片手を大きく掲げる姿が決まります。
浅野公喜

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