希望は子供たちに託して。
無実の罪を着せられた黒人青年を弁護する弁護士アティカス。
黒人差別が色濃い街で黒人を弁護することは、自身もまた嫌がらせを受ける危険を冒すことになります。
リチャード・アッテンボローの『遠い夜明け』を思い出しました。
人種差別や社会正義を描いた社会派の映画なのですが、法廷もの、ミステリーとしても悪くありません。
白人女性を暴行した犯人が左利きであることを突き詰めていくところは、しっかりとミステリーになっています。
そして、真犯人がわかりながらも、黒人であるがゆえに冤罪に消えなければならなかった黒人青年トムにたいして悲しみがわき、弁護士アティカスの無念さに共感さあせられます。
この辺りは山田洋二の『霧の旗』を思い出させました。
そして、この作品のもっともすばらしいところは、それを幼い子供の視点で描いているところでしょうか。
社会正義が必ずしも受け入れられない現実に子供ながらの憤りを感じる。
だからこそ、私たちの時代には…と未来に希望を託している描き方が見事なのです。
ノスタルイーと抒情に満ちた雰囲気も古き良きアメリカ。正義が素直に語れるアメリカを表現しています。
…とすると、ラスト、暴行犯の死はこの形でよかったのか。
見た後に様々な議論が出来るところも、またこの作品の優れたところではないでしょうか。
グレゴリー・ペックといえば『ローマの休日』。
そのほかの映画で僕が見たものは『渚にて』『白い恐怖』そして『ブラジルから来た少年』。う~ん僕はキワモノ映画ばっかり見てるって感じだなぁ。
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