鹿

カサンドラ・クロスの鹿のネタバレレビュー・内容・結末

カサンドラ・クロス(1976年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

今観ると、まぁちょっとね、っていう表現が多々あるにはあるが、超大物俳優達がそれをねじ伏せる。特にソフィア・ローレンにねじ伏せられるのならいいのではないだろうか。冒頭の国際保健機構にテロリストが侵入した時の銃での応酬のシーンはさながらスターウォーズエピソード時系列 4 を彷彿とさせる出来。だがそこで治療法のない感染症にかかってしまった状態のテロリストが逃亡のために乗った列車に、運命に引き寄せられるように主要な役割を果たす人たちが乗車していく辺りはなかなかよかった。ラストでは、事態の収拾をはかる側の「知りすぎた人たち」に対する後始末を暗示させるが、そこまでする組織が列車の乗客で助かった人々をそのまま見過ごすとは思えないし、その中には感染力を持った人たちが複数いるだろうから、映画が終わった後におきるであろう陰惨な真の結末を想像させるようなゾッとする終わらせ方になっていたのは意外。あんなにがんばったのに!同じ列車に乗り合わせただけなのに!

懲りずに余談納め。
こういった、予期せぬトラブルに巻き込まれた時、打ち合わせた訳でもないのに自然に役割分担ができることがある。
鹿がナースの世界線。
病棟で三人(看護師二人、介護士一人)での夜勤中。若くてかわいい看護師が青ざめて、「トイレに大きい蜘蛛がいます」と、助けを求めてきた。三人で見に行くとトイレから移動してきた蜘蛛が廊下の壁にいる。鹿にフェイスタオルをそっと手渡す介護士。……これは鹿がしとめるしかない、ということか。仕方がないのでタオルの端を結んで、準備をしていたら、その隙に逃げられてしまった。「鹿さんは蜘蛛、平気なんですか、頼もしかったです」と、言ってもらえたが、目の悪い鹿には胴体しか見えず、2×3cmくらいだと思っていたら、手足(?)を含めると10cm以上はあったらしい。……しとめられなくてゴメンね、決して蜘蛛を平気で殺せる訳じゃないけどあの場合だとどう考えてもアタシがやるしかなかった。映画でゾンビ(ゾンビも感染だから)とかに襲われたりした時、出来合いのチームで役割分担ができているのを見て、こんなに都合よくいくかと思っていたが、ふさわしい人材がバランスよく集まるのではなく、たまたま集まった人たちに役割が仕方なく振られていっているんだということを学んだ出来事だった。
……皆様、いつもありがとうございます。良いお年をお迎えください。
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