イチロヲ

キラーコンドームのイチロヲのレビュー・感想・評価

キラーコンドーム(1996年製作の映画)
4.0
凶暴なコンドームにより片玉を食い千切られた捜査官が、ニューヨーク市内を騒がしているペニス切断事件の真相に迫っていく。ラルフ・ケーニッヒの同名コミックを映像化している、ドイツ産のホラー・コメディ。アメリカでは、トロマ配給。

本作の主人公は、性的マイノリティの寂寥感を胸中に秘めている、巨根&男色家の中年捜査官というキャラ設定。基本的にゲイの世界を描いているため、美女のヌードすら登場しないが、暖色(男色だけに!)を基調としたサイケな映像世界に引き込まれる。

キラーコンドームは、小動物のように動き回り、ホテルに備え付けの避妊具と入れ替わる。とりわけ、浴槽のアヒルに乗って人間に近づいていくテクニックが抱腹絶倒。だが、H・R・ギーガーはコンセプト担当なので、彼のデザインが反映されているわけではない。

主人公に一途な愛情を抱くドラァグ・クイーンを、悲劇のヒロインのように描いているところが特徴的。信仰心から生み出される混沌を取り上げながら、性的マイノリティに愛の手を差し延べていく。そんな、心に優しいドラマ展開が印象に残る。
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