ピュンピュン丸

男はつらいよ 翔んでる寅次郎のピュンピュン丸のレビュー・感想・評価

3.3
寅さん23作め。マドンナに桃井かおり。恋敵役に布施明。寅さんの叱られ役に湯原昌幸。ここ数作で、初期の頃の寅さんと様相が変わってきている。

まず、マドンナや恋敵に旬のスターが起用。それから、寅さんが恋愛不器用な青年への恋の指南役、人生の師匠としての役を任じるようになっている。なので、作中には、恋の指南を受けるべき若者と、人生の道を正されるべき若者との両者が出演する。要するに、最近の寅さんは、「とらや」に帰ってくれば相変わらずの迷惑者だが、旅先では『市井の哲人』の様相を呈してきている。本作での、桃井かおりと寅さんの突然の出会いはまさにそんなイメージだった。

まあ、そんなこんなで、寅さんの恋愛より若者の恋愛のほうが作品の中心で、それと寅さんの位置付けの変化に呼応するように、タコ社長の位置付けが常識人からデリカシー欠如の非常識人の役に転じられ、初期よりボケぶりが激しくなっている。

最後に、寅さんの仕事中の口上が長く、そして工夫されていて、ワンパターンじゃなくなっている。

まあ、桃井かおりも、布施明も、寅さん映画にはあってないなぁ。それと、本作にまるで『奥様は18才』で聞くような妙な効果音が入っており、それも違和感あり。当時の恋愛コメディドラマで使われていたんだろうね。😅

今回、ついに寅さん人生初の仲人。そこでのギャグはくだらなすぎて笑えなかった。そのときのギャグもそうだが、本作の渥美清はチャップリンみたいな仕草が多くて、なんか気になった。

旅先では、どうしても登(秋野太作)に会ってほしいなぁ😃