9.11の同時多発テロでハイジャックされた4機のうち、唯一テロリストの目的を果たさせなかった、ユナイテッド航空93便の話。
現実の結末を知って観るだけに、いつも通りのフライトを信じて疑わず搭乗する乗客や乗務員の姿に胸が痛む。
もっと離陸が遅れれば、次の便にすれば…そんなことを当事者も家族もどれだけ考えただろう。
この映画の良いところは、ドラマ仕立ての演出をせず、主役のいないドキュメンタリーのように進行していくところ。
ヒーローものや美談ではなく、ただ起きたことが描かれていく。
だからこそ、恐怖が支配する機内で、あんなにも勇敢に立ち向かった方々が本当にいたことが、どれだけすごいことか伝わってくる。
耐え難い状況の中で、一番大切な人と一言だけ電話で話せるなら、誰に何を言うだろう。
野次馬でもお涙ちょうだいでもなく、こんなことは起きてはいけないと、自然に強く思わせてくれる映画だった。
