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ユナイテッド93のmireiitoのレビュー・感想・評価

ユナイテッド93(2006年製作の映画)
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『ユナイテッド93』
2006年
ポール・グリーングラス監督


2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロでハイジャックされた4機のうち、唯一目標に達しなかったユナイテッド航空93便の離陸から墜落までの機内の様子や地上の航空関係者たちのやりとりを描いたノンフィクション映画である。
出演者は無名俳優が中心に選ばれた。また、リアリティを追求するために、パイロットや客室乗務員役にはその職業の経験者を起用。また、空港との無線等には、事件当時の実際の音声が一部使用されている。映画を作製するにあたり、ほぼすべての遺族と連絡をとり了解を得た。また何人かの俳優が自身が演じる役をより深く理解するため、遺族のもとを直接訪れた。
監督をはじめとする製作スタッフは犠牲者の遺族や関係機関へ入念な取材を行った。また管制官や一部の出演者は、当日に現場で勤務していた本人が演じているという。

 この映画の1つの見どころは乗客たちの決起だが、もう1つの見どころは、突然人生の終焉状態に追い込まれた人たちが、機内の電話や携帯電話を通じて、最も大切な人に伝えたい想いとは一体何なのだろうかということ。犯人に見つからないように注意しながら機内の電話を使うことによって、妻に飛行機がハイジャックされたことを警察に通報するよう伝えたり、逆にニュースでWTCにハイジャック機が激突したことが報道されていることを知らされたりという大切な情報の伝達をしている姿は貴重なもの。しかし、個々の乗客にとっては、そんな全体的な情勢の動きよりも、自分にとって最も大切な人に最後の想いをどう伝えるのかの方が重要なはず・・・。スクリーン上で描かれるそんな乗客たちの姿は、犠牲者の遺族たちからの聞き取りを基とした生々しいものだけに、それぞれ涙を誘うもの。そのほとんどは「愛してるよ」というものだし、「愛してると伝えてくれ」というもの。イスラム教徒たち、ハイジャック側の主張も全然わからないわけではないが、少なくとも、こんな普通の乗客たちを犠牲者にする権利はアラーの神も与えていないのでは・・・?
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