AYA

ユナイテッド93のAYAのレビュー・感想・評価

ユナイテッド93(2006年製作の映画)
4.1
9.11、アメリカ同時多発テロ。ハイジャックされた4機のアメリカン11便、ユナイテッド175便、アメリカン77便、ユナイテッド93便は乗客乗員全員死亡。そのうちのユナイテッド93便の機内の犯人たち・乗客乗員の視点と、突然の4機ハイジャック、世界貿易センターに旅客機が突っ込んだことを飲み込めず、困惑する管制塔の職員たち、アメリカ空軍の視点で物語は進む。

進み方は、誰の視点に立つこともなく、ただ淡々と起きている出来事をなぞっていく。非常に客観的に丁寧に作られた良作。

出演している俳優たちは、わざと無名の俳優が中心に選ばれた。リアリティを追求するため、実際に一部出演者は、テロの当日に管制塔で働いていた人たちだそうです。

この映画の中でとても印象的だったのは、
劇中に「テロ」という言葉が出て来るのがたったの一度だけ。しかもユナイテッド93の乗客が言うのだ。管制塔でもなく、空軍でもなく。そこから、9.11がアメリカ軍に与えた底知れぬダメージが見て取れる。あれ程の軍事力を持ってしても防げないものがあるのだと思いました。

地面に激突する前、犯人グループも、乗客たちも神に祈るシーンがあるのですが、みんなが祈っている神は同じ神であるはずなのに、教典が違うだけで分かり合えないのはとてもやりきれない、という思いで観てました。

この作品はしんどいですけど、観るべきです。
AYA

AYA