【1963年キネマ旬報日本映画ベストテン 第8位】
新藤兼人監督作品。題字は岡本太郎が書いている。文字を分解したような背景で出てくるクレジットがスタイリッシュ。
幼い息子に脳腫瘍が見つかり、急場しのぎとして入院費を払ってくれるという男と三度目の結婚をするが…
母から息子への愛、じわじわと滲み出る夫から妻への愛、そして杉村春子演じる祖母からの愛。新藤兼人らしく淡々と進みながら、様々な愛を描くことに成功している。
最後がいい。乙羽信子演じる民子は本当の意味で夫の田島を愛することができるようになった。そこまでの心理スリラーのような演出もとても上手い。
流石新藤兼人、外さない。堅実な手腕が光る秀作。