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黒い画集 あるサラリーマンの証言のaaaakikoのレビュー・感想・評価

3.8
新大久保にこっそり愛人を囲っているサラリーマンが、愛人宅からの帰り道に知り合いの男とすれちがう。
数日後、その男は殺人事件の容疑者となる。サラリーマンが証言すれば彼は助かるが、愛人の存在がバレてしまう。
あなたならどーする。

松本清張の作品の中ではいつも、小賢しく立ち回っていたはずだった小市民が、ちょっとしたことで落とし穴にはまる。
原作は清張の短編『証言』で、映画では原作にプラスしてストーリーがもう一転するけれど、おもしろかったです。

いや、どう考えても証言してやるべきでしょう。相手は死刑になるかならないかなのだ。
だがサラリーマンは出世を目論んでおり、社会的地位を守るために必死です。
そんな役に若い頃の小林桂樹がぴったり。
冤罪をかけられた不幸な男の妻ってのが菅井きんで、これまた適役。
「石野さんが証言してくだされば、主人は助かるんです」
と、泣きくずれる妻。それに対し、すっとぼけて見てもいない映画のストーリーなど証言する小林桂樹をぶん殴ってやりたくなる。

個人的な感想を言わせてもらえば、夫には不倫など勝手にしてもらってかまわないが、家でメシを食うのか食わないのか連絡もなしに夜遅く帰ってくるのは本当にやめてほしい。
ま、昔ってどこもそんな感じでしたけどね。
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