なんて良く出来た内容なのだろう。
本がすごい。松本清張だから当然なのか。
出来事の重要性、必要性の描き方が本当に凄い。
簡潔に出来事だけを羅列するとそこまでドラマチックでもない内容なのに、
全く目が離せない。
物語と人物がうまい具合に喧嘩している。
どうしてもそっちに進みたくない人間がいて、
どうしてもそっちに引っ張っていく物語。
小林桂樹がまた、いい感じ身勝手で。説得力あって。
一つ一つの選択も他愛ない感じがして。
ちゃんと地位のある人が、愚かにも、転落していく様。
そこにちゃんと葛藤、絶対にそうなりたくないのに、
そうなっていく様が、巧みすぎる。
そっちに行ったらあかーんみたいに叫びたくなる。
悪人じゃない人間が、良心を痛めながら、そっちに舵を切ってしまう。
たらればをつい持ち出したくなる素晴らしい映画だ。