かつて大学の国際文化学っていう授業で見せてもらって以来、ずっと覚えていて改めて見たがやっぱり素晴らしい映画だった。
エンタメ要素は少ないが、それは人生を真面目に捉えているからだと思う。昨今の世界情勢では宗教や領土といったことを理由に戦争が勃発しているわけですが、それは人々にとってかけがえのない譲れないアイデンティティだからだと思う。
ドゥーニャとデイジーは全く正反対の家庭に性格だが正真正銘の親友だ。日本ではこの2人のような絆はなかなかないだろう。それは衝突しても決して離れ離れにはならない心で通じ合っているからだと思う。
その2人を家族、故郷、肉親といった外部環境を丁寧に描いているこの映画は、しっとりとして落ち着いた雰囲気が心に刺さる。
移民という現実が、人々をどう変えているのか移民2世、3世達はもはや、故郷を知らないが移民先の人間とも見做されない。信じる神も違う。でもそのルーツを見失ってしまった時、人はどうなるんだろう。
家族とはなんなんだろう。自分の思い通りになんでも上手く行くんだろうか。そんなことはまやかしなんだろう。
とにかく、ドゥーニャの切ない表情が心にグッときました。親友と家族の板挟みになる家族というよりもっと巨大な、自分の文化。アムステルダムでもモロッコの人間でもない自分をどう捉えるのか、正解はないけれど、日本でもこれからはこういった若者達が悩むことになるのでしょう。(在日韓国人と日本人の物語に近いかな。)
この映画を見るにやはり核家族なるものは不幸を増やしてるだけだと思う。人は決して、1人では生きていけない。そのためには家族との軋轢を乗り越えて行かなければならないと自分に言い聞かせるのでした。