くまちゃん

ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFTのくまちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

3.1

このレビューはネタバレを含みます

「リトルトーキョー殺人課」ドルフ・ラングレン。
「デッドヒート」ジャッキー・チェン。
「ローグ・アサシン」ジェイソン・ステイサム。
「ブレット・トレイン」ブラッド・ピット。
そしてアリナミン・ダイナミックのCMでおなじみのスティーブン・セガール。

国際的なアクションスターの多くは流暢に日本語を操る。それは今ではスターの必須科目であり難易度の高さ故、言語のアクションと呼称しても差し支えあるまい。今作にもその系譜が見られることは間違いない。

前二作と毛色が異なり舞台は日本の東京。主人公は運転好きの高校生。
にも関わらず主人公ショーンを演じたルーカス・ブラックは映画公開当時24歳。
ヒロインニーラを演じたナタリー・ケリーは22歳。童顔な日本人より大人びた風貌に加え、成人年齢を超えていれば学生服が似合わないのも致し方なかろう。

ショーンは車と運転に並々ならぬ情熱を燃やすがまだまだ免許取り立ての子供である。ドリフトのなんたるかも知らない。当然ブライアンやドミニクのような華麗なチェイスを繰り広げることもできない。これは同シリーズには珍しくティーンエイジャーの成長物語なのである。

保護者としての義務を果たそうとする父に対しショーンは言う。
どこで生きるかではない。自分のやりたいことを自覚して追うことだ。
ここにショーンの熱意と覚悟と成長が垣間見れる。
が、それは自立した人間が言った場合に限る。ショーンは未成年であり両親の庇護のもとここにいる。母国で問題を起こした際は母と共に住居を替えなければならなかった。今でも父の助けを得ている。寝床を変えても自立はしていない。背伸びしてる子供に過ぎないのだ。

DKはショーンに対して容赦なく実力を見せつける。ドリフトキングの名に相応しいハンドル捌き。
ハンの協力を経ながら日々練習に励み、再びDKと対峙する。
が、ここでショーンがDKに勝てた理由が不明。経験も技術も劣っている上、マシンに至っては父親が拾ってきたガラクタだ。DKのように財力に物を言わせたわけでもなく、乗り慣れているわけでもない。勝機は万に一つもない。
スポ根的要素を押し出したが故の論理の破綻したデキレース。

さらに、あれだけ存在感のあったハンの死に対する反応が薄すぎる。
ハンは威勢だけの青年ショーンに車を与え、チャンスを与えた。それはブライアンがドミニクを逃した場面と重なる。
ショーンにとってハンは恩人でありドリフトの師匠でもある。今作においてハンの死に重大な喪失感を抱いているのは作品内のキャラクターではなくスクリーン前に着座する観客の方だろう。
また、東京のど真ん中で死人が出るほどの熾烈なカーレース、日本の警察は何をやっているのか?ショーン含め関係者を任意同行と事情聴取するべきではないか?逮捕者が出ている様子もない。
ホブス登場以前のシリーズでは特に警察の無能ぶりが顕著なため、制作陣は警察に良い印象を抱いていないか、もしくはアナーキストなのかもしれない。

ハンの死を偲ぶ間もなく物語は終盤へと進み、やがてメインサーガと交錯する。
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