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ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFTの06のレビュー・感想・評価

3.8
車好きなアメリカの高校生が問題を起こし、逃げた先は日本の渋谷。そこで夜な夜な繰り広げるドリフトレースに心奪われる。

ワイルド・スピードでは不評な本作だが、実は一番好きだったりする。ストーリーはあってないようなものだが一応「自分の居場所を探す物語」である。「外人」と揶揄され、問題を起こして住処を点々とし、父にも母にも見捨てられかけている少年が、ドリフトを通して自分の居場所を獲得していく。

カーシーンでは残念ながら、車は空を飛ばない。しかし代わりに地に足付いた生々しいドリフトレースが観戦できる。ありそうだが実在しない、東京のアングラ空間で観せられる車好き達の集い。ドリフトは日本発祥の文化だが、ハリウッドの文脈で映像化するとこんなにも魅力的なのかと、再発見する。
それに渋谷の町で繰り広げるカーチェイスに高揚しないやつはいないだろう。

この映画で一番好きなのは、初めてドリフトに挑む主人公が気持ちよく車をぶっ壊してくれる事だ。最初のレース、練習の時、容赦なく壁にぶつけて大破させていく。それを支えるのが大金持ちのヤクザの相棒ハンなのだが…。
「信頼できるやつを見つける為に、車一台なんて安いもんだ」
とかっこいい事を言ってくれる。
無謀に挑戦する子供と、それに惜しみなく投資してくれる大人の構図には痺れるものがある。

しかし全体的にアングラな空気が漂うので、本作はワイルド・スピードシリーズとは独立したものとして観るのが一番良さそうだ。
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