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眠狂四郎 悪女狩りのkojikojiのレビュー・感想・評価

眠狂四郎 悪女狩り(1969年製作の映画)
3.8
 ラスト、狂四郎は、隠れキリシタン江原真ニ郎演じる「狂四郎の影」と闘う。この映画のクライマックス。ニセ狂四郎が下段からゆっくりと円を描き始めると、狂四郎の刀も円を描く。
 二つの剣がストロボで回り、狂四郎の刀がまっすぐに天を指す瞬間、刀の光は「十字架」になって、ニセ狂四郎の瞳を照らす。ニセ狂四郎は明らかに動揺し、飛びかかっていく。
狂四郎はそれを一閃の下に切り捨てる。

 ニセ狂四郎は死に際に際し神に祈る。それを見た狂四郎のセリフ。
「貴様を救う神があるか、俺も確かめにいきたいものだ。」
このセリフが雷蔵狂四郎の最後のセリフだ。
不吉な言葉となって残ってしまった。

#1350
1969年 大映映画 狂四郎ラスト(12/12)
監督:池広一夫(狂四郎監督3本目)
脚本:高岩肇、宮川一郎
原作: 柴田錬三郎
製作:永田雅一
音楽:渡辺岳夫
私の大好きな第9作の音楽担当。例の「時には母のない子のように」が復活する。狂四郎にすごくあっているBGMだ。

 大奥では、側室の2人、錦小路とお千加が激しく権力の座を争っていた。大目付は錦小路とぐるになり、隠れキリシタンニセ狂四郎を使って続々と逆らう幕閣の要人たちやお千加に加担する女たちを殺害していた。しかも眠狂四郎の仕業であるとの噂を流すのだ。狂四郎は次第にこの争いの中に巻き込まれていく。

 雷蔵はこの映画封切りの年の前年6月、大腸がんの手術をしている。
この映画が復帰作になっているが、実は病状はあまり良くなかったようだ。
 この映画の次の作品「博徒一代 血祭り不動」が遺作となる。

 大映も狂四郎最後の作品と覚悟していたのか大奥が舞台ということで豪華女優人が色を添えている。
朝丘雪路、藤村志保、久保菜穂子、松尾嘉代、吉田日出子だ。

 狂四郎の強敵はニセ狂四郎江原真二郎。
これに加えて公儀御庭番が次々と狂四郎ニ襲いかかる。

 例によって色仕掛けはたっぷり。その時のセリフ
「この熟れた体が生娘か?他の男ならともかく、俺を騙すにはお前の体は熟れ過ぎている」

 この年、全共闘が東大安田講堂を占拠、封切りの1月、安田講堂は機動隊が出動し学生達は排除され、学生運動退潮の象徴的事件となった。時代は明らかに変わろうとしていた1969年。

2023年 385本目

 
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