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理想の女(ひと)のヒロのレビュー・感想・評価

理想の女(ひと)(2004年製作の映画)
4.0
日本では童話「幸福な王子」で有名かと思われる、オスカー・ワイルドの喜劇『ウィンダミア卿夫人の扇』(英語: Lady Windermere's Fan, A Play About a Good Woman)が原作の映画。
随分大昔に、深夜映画でチャンネルザッピングで遭遇し、後半から視聴したが、後半からでも何か面白かったので、冒頭からちゃんとみたいと思い、改めて視聴。
ナイチンゲールと薔薇、幸福の王子等、自己犠牲による幸福や愛等を描くオスカー・ワイルドが原作なのが納得のお話。
お金持ちの方々の、会話や言葉遊びやら駆け引きが小洒落ている。
1930年代の女性のファッションもとても良いし、アマルフィーの町並みも美しい。個人的にはかなり良作。
以下ネタバレ少しあり。













最初は、娘の結婚相手であるウィンダミア卿を、妻の母が愛人稼業やってるなんてスキャンダルだよね〜、吹聴されたくなかったら口止め料、って感じで近づいたが、やはり娘が手の届く所に居るとなると、母親の欲や愛情が蘇ってしまうアーリン婦人。でもやはり、自分が立派な母ではないという負い目があるからか、自分の正体は娘であるメグには明かさない。まぁ、ロバートを脅してお金を貰うネタでもあるから、言わない部分もあるだろうが…。(明かすと、自分だけ嘲笑の対象なるなら構わないが(終盤メグに「悪い女になるには開き直れてないから無理よ」的な事を言うし)、善良で貞淑なメグの名誉も毀損するとか色々考えたんだろう)
人間の理性では関わらんほうが彼女のためだろうが、人は必ず弱い部分があるし完璧では無い。感情の面では、娘の様子をチラチラ見たいみたいな「あわよくば」な、気持ちもあったろう。理論的には処理できないこともあるのだ。。だって人間だもの。
自分のせいで娘夫婦を引っ掻き回してまったとはいえ、最後の最後で自分の名誉と幸福を犠牲にしてまで、娘の幸せを守る母。ぐっと来た。
メグとのやり取りで、「これから言うことを誰にも言わないと、あなたにとって一番神聖なものに誓って」と言ったらメグが「母に誓う。私の守護天使なの」と言われて、アーリン婦人の気持ちが、表情から伝わってきて、こっちも感極まった。泣いた。
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