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ホテル・ルワンダのcamusonのレビュー・感想・評価

ホテル・ルワンダ(2004年製作の映画)
4.2
主役であるホテルの支配人(フツ族)が、
自分のホテルに妻(ツチ族)と子供、
ご近所のツチ族の人達を匿い、
いかにしてうまく立ち回り、守り抜くかという視点なので、
虐殺そのものの残虐なシーンは抑えられていますが、
それでもホテルが民兵に襲われるところなどは、
手に汗を握る臨場感がありました。

高級ホテルが舞台なので、
贅沢を味わうアフリカ人達の姿という
普段あまりなじみのないシーンを見ることができます。
ホテルの支配人役も迫真の演技でした。
また妻役も鬼気迫る演技でした。
別に見捨てたわけじゃない夫に対して、
「なんで見捨てた」と言って怒るところなどは、
急に老け顔になりオニババと言っても過言ではなかったです。

恥ずかしながら私は、
10年ちょっと前に100万人規模の大虐殺があったことを、
全く認知しておりませんでした。
一言で言うと「アフリカをほとんど知らないこと」
に気付かされる映画ですね。

大自然と共生する裸族の生活などはテレビ等で見ているので、
何となく想像できるのですが、
それは全体から見ればごく一部の部族の話であろうし、
近年、近代化が進んでいるであろうアフリカ人の生活って
全くというほど知らないのですよね。
国情もそれぞれなのでしょうが、
区別もせずに一緒くたになってしまっているし・・・。

ルワンダについてちょっと調べてみたのですが、
植民地支配時代、
ヨーロッパから来た支配者はもとは明確に分かれていなかった
ツチ族とフツ族を明確に区分して身分証明カードを持たせ、
ツチ族をよりヨーロッパに近い高貴な民族と位置づけて
特権を与えるとともに、
フツ族を野蛮な民族として位置づけたようです。
このようにして現地人同士の対立の構図を人工的に作り上げ、
反乱分子による火の粉が真の支配者にまで及ばないように
したようですね。
階層化して支配するというのは、
常套手段なのかも知れませんが、
まあ何というか、荒っぽいというか。

そして1963年の独立後も、この対立が負の遺産として残り、
内戦に発展して国民同士の殺し合いに至ります。
とんだ置き土産ですね。
1994年の大虐殺を行ったフツ族が一方的に悪いかというと、
隣のブルンジではツチ族が権力を掌握し、
フツ族の弾圧をしていたりするので、もう泥沼状態です。
深刻なのは、
この先またいつ報復合戦が起きてもおかしくないことです。
全くもって野蛮でタチの悪い置き土産をするものです。

映画の話に戻りますが、劇中で、
フツ族がツチ族をゴキブリと呼んで蔑む場面があるのですが、
そもそもアフリカにゴキブリがいるのか?
どんなゴキブリがいるのか?
すげーでかくないか?
ゴキブリは忌むべき存在なのか?
元々そういう文化があったのか?
ヨーロッパから輸入されたのか?
そう言うおまえはゴキブリと違うのか?
等々、何しろアフリカの文化をほとんど知らないので、
そんなことさえ疑問ですね。

この映画をきっかけにちょっとアフリカに興味を持ちました。
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