まぴお

ホテル・ルワンダのまぴおのレビュー・感想・評価

ホテル・ルワンダ(2004年製作の映画)
4.5
【人間はここまで残酷になれるのか】

フツ族とツチ族の確執により起こった大虐殺。

1994年にフツ族の大統領が暗殺されたことにより
過激派のフツ族がツチ族80万人を虐殺する事件にまで発展した。

これはそのツチ族を守るために奮闘するホテルの副支配人の物語。

やばい。なにがやばいってこの作品の緊迫感そして絶望感自体もやばいんだけど
「ルワンダ大虐殺 〜世界で一番悲しい光景を見た青年の手記〜」と「ルワンダ ジェノサイドから生まれて」いう書籍の存在がやばい。

これでさらにルワンダ大虐殺の事実を知って涙が止まらなかった。
「ホテル・ルワンダ」や「ルワンダの涙」では語られない真実。
この真実をもっと知ってほしい気持ちもあるんだけど
多分、読み進めることにより精神的に気持ち悪くなってしまう人も
いると思うのでここから先ある程度、覚悟してから読むことを
お勧めます。


--------【映画のネタバレはないですが閲覧注意】----------------

前提としてルワンダ大虐殺では性的暴力を受けて生まれた子供が約2万人いる。

以下、性的虐待を受けた母の手記より。


私は、自分の子供たち全員が見ているところで暴行されました。最初の5人までは覚えています。その後、私はわけがわからなくなりました。私が意識を失った後もなお、彼らは私を暴行し続けました。正直に言えば、あのとき、あの教会にいた女性は、全員暴行されました。-オリビア


ジェノサイドが始まったとき、私は婚約していました。私の婚約者は、最初の3日間で殺された大勢のうちのひとりでした。私は、鉈(なた)で殺された彼の死体を見ました。その後、私は愛していないたくさんの男たちに暴行されました。その結果が、この子供たちです。私はもう二度と恋に落ちません。決してセックスを楽しみません。自分が母親であることや、子供をもつことに喜びを覚えることも決してありません。私はただ、それを引き受けたのです。-ブリジット


娘は生き延びました。後になって、この子が私を暴行した民兵の子供であることを知ると、夫は娘の世話は決してできないと言いました。そして私たちがよい関係であり続けるために、この子を殺そうと言い出しました。私にはとても受け入れられませんでした。あるとき、彼は地面に赤ん坊が横たわっているのを見つけて、その上に自転車で乗りました。幸い、この子は生き延びました。またあるときには、夜酔っ払って帰って来た夫が、赤ん坊を壁に叩きつけました。娘の鼻から血がにじみ出ました。そのとき、私は娘の命を救うためにあと一歩で家出をするところでした。-ベアタ

男たちは10人以上いて、私を暴行しました。ひとりがやって来て、その男が去るとまた別の男がやって来て、そして去っていきました。いったい何人だったのか、数えられません。ある男に暴行された後、私は喉が渇いているので水をもらえないかと頼みました。男はうなずき、一杯のグラスを持って来ました。口にすると、それが血だと気づきました。その男は言いました。「おまえの兄弟の血を飲んで、行け」。それが最後でした。-マリー


「ここでこいつを殺すな。俺が必ず苦痛で死なせてみせる」。男はコップを持って来て、そこに放尿すると、私に飲ませました。翌日食べるものを持って来ましたが、そこには石と尿が混ぜられていました。そういうことを、男は何日間にもわたって続けました。「おまえは俺のトイレだ」と言い、放尿したいときはには私の脚を開いて、私の性器にしました。コンゴの難民キャンプへ行ってからも、男は私を離さず、したいときにはいつでも拷問や暴行を繰り返したのです。-アリン

司祭が私に、司祭長の家に隠れるようにと言いました。私がそうすると、司祭は自分の友人を呼び、「ツチの少女を楽しむ」機会だと言いました。こうして彼らは私を暴行しました。2人は司祭長の家で、それぞれ3回私を暴行しました。-クレア

今日、私は大きな問題を抱えています。私は母親ですが、母親でありたくないのです。私はこの子を愛していません。この子を見るたびに、暴行の記憶がよみがえります。この子を見るたびに、あの男たちが私の両脚を広げるイメージが浮かびます。娘が無実だということはわかっていますし、娘を愛そうとしました。でも、できませんでした。普通の母親が子供を愛するようには、私には娘を愛せないのです。(中略)ときどき、自分はなぜ中絶しなかったのだろうかと後悔します。-フィロメナ


最初の6年間、私は男性に近づくことすら耐えられませんでした。人々に通りすがりに、「ほら、あの娘をごらん。暴行されたんだよ」などと言われると、私の心はずたずたに傷つけられます。自分に何の価値もないような気持ちになります。だからそのことは考えないようにしてきました。人々は私たちを、民兵の性欲の食べ残しなのだと言います。そのことを考えるたびに、私は自己嫌悪に陥ります。それについては話したくありません。-デルフィン


エンドロールの歌がまた何もできない自分の心に重く響く
「ルワンダ・ルワンダ。神さま聞こえますか。この叫び声が聞こえますか。」

600本目
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