『メアリー&マックス』のアダム・エリオットが贈る、真実しか語らない短編クレイアニメーション。
多くの映画を観ていて、振り返ると内容を忘れている作品も多々ある中で、『メアリー&マックス』は私の完全に忘れられない作品になっている。そのくらい感銘を受けたし、美しかった。
本作はショート作品でありながら、不幸ばかりが続く男性の一生を描いた物語をクレイアニメーションで描いた伝記形式の作品。
23分で見事に彼の一生を描ききり、心に残る作品になっているのが本当に凄い。アダム・エリオットの感性に乗せたメッセージが心に真っ直ぐ刺さって抜けなくなる。
トゥレット症候群、言語障害、精神障害をフラットな気持ちで学ぶ事が出来るし、何より「人生にとって本当に大切な事は何か」をストレートに届けてくれて、頭がもげるほど頷いてしまう。
病気があったり、友達がいなかったり、生まれた境遇は誰しも選べない。人は皆違う、それが普通。
そんな中で、自分の人生を豊かにするのは自分自身で、人の幸せは他人の物差しでは測れず、人生の心が決めるんだと言う事、人生なんてそんなもんだよって教えてくれる。
決して可愛いとは言えないビジュアルのアニメーションが、とても可愛く愛おしい。『メアリー&マックス』もそうだけど、こういう感性、生き方は普遍的なものだと思うし、絶対に人生の糧になるので、子供がいたら観せたい作品です。幸せに生きて、誰かを幸せにして欲しいから。
世間が、臭いものには蓋をする精神で閉めてきた蓋をガンガン開け、真実をコミカルに、でも真実のままに伝えてくれる事の凄さ。観たら分かります。
抱きしめたくなるような感情をくれるアダム・エリオット。すっかりファンです。本当に美しいアニメーション。彼の作品がもっと観たい。
2021-52
《追記》
『メアリー&マックス』アマプラで無料で観れます。Filmarksの『メアリー&マックス』ページからは今の所、有料ページに飛んでしまうので、アマプラで検索してみて下さい。おすすめです。