MOCO

スター・トレックVI/未知の世界のMOCOのレビュー・感想・評価

3.5
「あなたの父上は未来のことを『未知の世界』と言った。
だが、彼らは変化を恐れた」(カーク)
「父の意思は甦ったわ」(アゼドバー) 
「私の息子も甦りました」

 宇宙船エンタープライズの任務を解かれ宇宙船エクセルシオルの艦長として3年を経過したヒカル・スルーはガス青雲の異常調査を終えた帰還途中に大きなエネルギー波に襲われます。
 エネルギー波はクリンゴンの月にあたるプラクシスの爆発によるものと分かり、スルーは救援が必要ではないかとコンタクトを図るのですが、プラクシスの映像は途切れ、クリンゴン最高指令部カルラ准将に「事態は終息に向かっている」と救助活動を拒否され、艦隊指令部に事故の報告をします。

 2カ月後、宇宙艦隊本部から召集されたカーク達はクリンゴン人による無謀な資源採掘と、安全対策の軽視からプラクシスが爆発し、クリンゴン人の母星・惑星クロノスのオゾン層が破壊されこの先50年程度でクロノスの酸素はなくなってしまうために、クリンゴンから和平交渉が打診されている事を知らされます。

 70年来敵対関係にあった惑星連邦とクリンゴン帝国だったのですが惑星連邦は和平交渉に応じる決断を下します。
 カートライト提督と息子をクリンゴン人に殺されているカーク艦長から反対意見が出るものの決定事項は覆ることなく、カーク艦長には和平交渉にやって来るゴルコン総裁をエンタープライズで調印の場までエスコートする不本意な任務が与えられます。

 エンタープライズにはカークの馴染みのスタッフと共に若いスタッフも集められ、スポックが保証人の宇宙アカデミーをトップで卒業したバルカン出身の優秀な若手女性将校・ヴァレリスも操舵手として乗り込みます。
 
 ゴルコン総裁の乗るクロノス1号と合流したエンタープライズはゴルコン総裁と娘のアゼドバー、軍事顧問のカルラ准将、参謀長官のチャン将軍等を招き晩餐会を開きます。ヴァレリスの提案で禁止されているロミュランエール(アルコール)が用意され、腹の探り合いのような晩餐会は終わりクリンゴンの幹部はクロノス1号に戻って行きます。
 その直後、二発の魚雷がクロノス1号を直撃しクロノス1号は甚大な被害を受けます。
 エンタープライズのコンピューター解析によれば魚雷を発射したのはエンタープライズ、魚雷はクロノス1号の重力装置を破壊し、船内は無重力状態となり転送で連邦軍の磁力ブーツのスーツに身を隠した二人の刺客が現れると無重力で動きの鈍くなったゴルコン総裁等に銃弾を浴びせ、転送で消えて行ってしまったのです。
 カークはスポックに事態の究明を命じると、マッコイと共にグリンゴン艦に転送で乗り込むのですが、マッコイの救命措置もむなしくゴルコン総裁は絶命し、二人はその場で拘束され惑星間の条約第184条の定めに準じ逮捕されてしまいます。

 突然の事態にゴルコン総裁の娘アゼドバーが和平会議の特使を後任することになるのですが周りのクリンゴン人は報復の戦争をけしかけます。アゼドバーは父の意思を継ぎ和平会議の出席を行い償いはカークにさせることに・・・。

 二人は即刻行われたクリンゴンの裁判で飲酒していたこと、飲酒状態で治療措置をしたこと、更にカークの恒星日誌でのクリンゴン人に対する暴言など不利な証言があり、有罪判決が下され、流刑地ルラペンテ星のダイリチウム鉱山に送られてしまいます。

 スポックの指揮するエンタープライズは本部の帰還命令を無視して留まり、解析の結果から現場にもう1隻『バード・オブ・プレイ』の透明シールドを使う艦がいて魚雷を発射していると結論を導きます。しかし透明シールド作動中は攻撃することは出来ないはずなのです・・・。更にスポック等はエンタープライズ内に魚雷発射のデータ改ざんをした者と、転送でクロノス1号に乗り込んだ2人がエンタープライズにいることを推測し磁力ブーツの捜査を始めます。
 
 カークとマッコイは鉱山のマルシアの手引きでシールドの抜け道から転送ができる地区へ脱出しエンタープライズに戻ってきます。

 磁力ブーツが発見されると実行犯の2人が口封じのために暗殺され、それをきっかけに暗躍者があぶり出されます。
 スポックは精神融合で暗躍者の記憶を読み取り、連邦とクリンゴンの和平に反対するカートライト提督・チャン将軍・ロミュランの大使ナンクラスたちの犯行が発覚します。
 彼らが次に狙うのは惑星連邦の総裁・・・。

 内密になっている和平会議の会場に向かうエンタープライズは透明シールドを使うチャン将軍のクリンゴン艦の猛攻撃を受けます。クリンゴンは透明シールドを使っていても攻撃できる艦を試作していたのです。カークは駆けつけてくれたスルーのエクセルシオの援護を受けて敵艦を撃破すると。和平会議の場に転送されると大統領暗殺を阻止するために会場へ・・・。

 私はビジャーの謎が解明する第一話が好きなのですが「スタートレックシリーズは偶数話が面白い」・・・説に頷かせる謎解きに目が離せない良作の第六話はCGのレベルも高くラストに相応しいお話でした。

 1991年12月に公開されたシリーズ最終話は1991年10月24日亡くなられた『スタートレック』の生みの親ジーン・ロッデンベリーに捧げられた作品になっています。

「いつの間にか歳をとり、頑固になってしまっていた・・・」カークにとって引退を意味する艦隊本部の帰還命令に背くことなくカークは『未知の世界』の変化を受け入れ、後進に道を譲ゆずために・・・。
 エンドロールのキャストの名は直筆サインで紹介されています。
MOCO

MOCO