Myke

幸福の黄色いハンカチのMykeのネタバレレビュー・内容・結末

幸福の黄色いハンカチ(1977年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

本作は、
戦後の日本、昭和を生き抜いた方々の忍耐強さや、
当時の男女の典型的な姿が描かれていたように感じました。

そこへ、恋人に振られたショックで
傷心旅行にきた鉄也(武田鉄矢さん)と、
会社の人間関係に悩み、
さらに恋人まで奪われてしまった朱美(桃井かおりさん)
の二人の若者が登場しますが、

ファミリアと呼ばれるオレンジ色の車に流れる、キャンディーズの曲。
なごり雪を口ずさむ朱美。
ファッションも当時の音楽も、レトロでとてもオシャレ。

それは、戦後の日本から新しい時代へ
生まれ変わっていっている象徴なんだと思いました。

映画の始まりに現れる、
北海道の雪解け街、隙間風が寒そうな建物、
白い大自然、青い空、澄んだ空気の綺麗さは
画面越しに美しく伝わります。

この映画は、今から約45年前の映画で、
45年前の北海道の様子は現在と
どのように違うのかとか、
当時の鉄矢と朱美のような若者の気持ちなどを考えると
なんだか、
甘酸っぱいような、懐かしい香りを嗅いだような
そんな気持ちになりました。

今の私が見ているこの東京の情景も
45年後にはどうなっているのかなぁ。。。
私は70歳を過ぎているなんて考えられない。
そう思うと、人生ってすごく儚いなと感じました。

そして、最後の元奥さん(倍賞千恵子さん)が
黄色いハンカチを大量に竿に掲げて、
勇さんと再会するシーンには涙が止まりませんでした。
このシーンの涙腺の破壊力は凄まじく、
最後の最後にやられたという衝撃でした。

私も何年経っても
一途に人を愛せる人になろう〜!!


◯印象に残ったお芝居。
“日本を代表する銀幕の大スター”と名を残した
高倉健さんの素晴らしさが、遺憾なく輝いていました。
特に、
刑務所から出所したばかりの高倉健さん演じる勇さんが
ラーメン屋でビールを嗜むシーン。
言葉には表れなくとも、その表情からは
6年間の刑期を経ての
沢山の想いが詰まっていました。

その他も、
一度怒ると手をつけられないほど大きな一物をいつも抱え、
気を張って生きている、山のような勇さんの
繊細さに同情したり、強引さにのまれそうになったり、
その静に佇む背中を見て気の毒に感じたり、

本当に素晴らしい俳優さんだなと思いました。
Myke

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