自家製の餅

幸福の黄色いハンカチの自家製の餅のレビュー・感想・評価

幸福の黄色いハンカチ(1977年製作の映画)
4.2
数年振りの鑑賞でぼんやり覚えてはいるものの、何度観ても面白い昭和の傑作。高倉健の圧倒的な渋さに、若き武田鉄矢の軽薄さ、桃井かおりのウザさがぴったり噛み合った素晴らしい配役。
ひとことで表すならば人間らしいに集約される滑稽さに笑い、泣かされる。
こう、10分ほどに分割してもそこ単独で面白いであろうこの時代独特の浮足立った雰囲気は伊丹十三『たんぽぽ』にも似ている(気もする)。

バカ男女の横でひとりクールな高倉健が最もダメなヤツってのもいい(物語は彼が網走刑務所から出るところからはじまる)。
北海道の田舎町、駅前、繁華街に木造の家々。スーパーマーケットの看板から国道、畑のすべてが心象風景のよう…北海道の素朴ながらの豊かさと物語がピタッとハマる。

ラストは泣いた、泣くよねこれは。