せびたん

クッキー・フォーチュンのせびたんのレビュー・感想・評価

クッキー・フォーチュン(1999年製作の映画)
4.0
物語は演劇的な構成。ドラマらしいことは何も起こらないのがむしろ心地よいオフビート感覚な作品。たぶん大人向け。音楽というか音響が相変わらず凝ってました。ぱっと見(ぱっと聴?)雑音多めな感じだけど、これもいい具合に作品の印象の基調を作ってる気がしました。

ある種の邦画が目指しているのはこういう方向性なのかなあって思ったけどセンスは全然違う気が…(どっちがいいとは言ってないからね)。

あらすじはこんな感じです。
ある町で自殺した女性(一人暮らしのお金持ち)の親族が「一族から自殺者を出すなんて恥の極みだ」という理由から、自殺現場を偽装して殺人に見せかけた結果、自殺した女性の面倒を最後まで焼いていた黒人男性が容疑者として拘束されて…という話。

平和な町に起こった禍々しい出来事(偽装されたものとはいえ殺人事件)が平和な町の日常を侵蝕する、という形にはならなくて、殺人事件という禍々しい非日常を平和な町の日常が侵蝕していくという逆転がコメディタッチで描かれてました(このあたりを演劇チックに感じたのかも)。おもしろかったです。

今の映画みたく全部を言葉で説明したりしないので、そういうのが苦手な人は見てはいけないやつ。
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