一人旅

クッキー・フォーチュンの一人旅のレビュー・感想・評価

クッキー・フォーチュン(1999年製作の映画)
4.0
ロバート・アルトマン監督作。

アメリカ南部の田舎町を舞台に、偽装殺人が巻き起こす騒動を描いたコメディ。

『M★A★S★H』(70)、『ナッシュビル』(75)の奇才:ロバート・アルトマンが1999年に撮ったブラックコメディで、アメリカ南部ミシシッピ州の田舎町を舞台に、自宅のベッドで拳銃自殺した老女:クッキーの死を何者かによる強盗殺人であるかのように彼女の姪二人が見せかけたことによって巻き起こる一連の騒動を描いています。

多数のキャラクターの命運が1件の偽装殺人をきっかけに交錯していく―アルトマンらしい群像劇仕立てのブラックコメディとなっていて、自殺したクッキーの姪二人(敬虔なカトリック信者の姉:カミール&姉の言いなりになっている控え目な妹:コーラ)、久しぶりに帰省したコーラの一人娘:エマ、エマの恋人で地元保安官のジェイソン、クッキーの世話をしていた気のいい黒人:ウィリス―と個性豊かな登場人物たちの相関関係を手際よく捌いてみせたアルトマン監督の熟練の演出手腕が光っています。

南部の平穏な田舎町で起きた偽装殺人に端を発する一連の騒動を通じて人間の罪と欲望を皮肉的&ブラックユーモア万点に描いた群像コメディで、グレン・クローズ、ジュリアン・ムーア、リヴ・タイラー、チャールズ・S・ダットン、クリス・オドネル、ネッド・ビーティ、パトリシア・ニールら役者陣が適材適所の好演を見せています。
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