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クッキー・フォーチュンのemilyのレビュー・感想・評価

クッキー・フォーチュン(1999年製作の映画)
3.6
南部片田舎で年老いたクッキーは夫の死後ふさぎ込んだ日々を過ごしていた。そんな彼女が夫の元へと銃で自殺してしまう。それを見つけた姪のカミールは自殺は家系の恥だと言いだし、妹のコーラを巻き込み殺人事件に偽装してしまうのだ。

全ては「釣り仲間だ」に集約されていき、サスペンスで残酷な家族間のドロドロがありながらどこか軽いタッチで、コミカルで皮肉感たっぷりなドタバタ劇に仕上がっており、非常にテンポ良く展開してくれる。

劇中劇の「サロメ」には天然の保安官も参加しており、コーラは姉から常に怒られている。コーラ演じるのはジュリアン・ムーアであるが、なかなか無知ぶりが板についておりそれが皮肉に光る終盤の展開も見事だ。どこか優しい暖かな目線でほのぼの綴られているようで、無知が引き起こしてしまう偽装劇と、無罪なのに犯罪者へ転がってしまう皮肉に笑わしてくれながらも後味は良くないのだ。

しかしそこはエマ演じるリヴ・タイラーとウィルス演じるチャールズ・S・ダットンの善人ぶりが良い中和剤になり、日々は続いていく。操ってきた人物が極地に立たされた時には飼い犬に手を噛まれる展開と、ラストへの畳み込みは非常に好感が持てる。殺人まがいがあっても日常は続くし、自分が信頼して築き上げた関係は、どんな時も翻されない。やはり大事なのは信頼できる仲間や家族なのだ。
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