ひろ

クッキー・フォーチュンのひろのレビュー・感想・評価

クッキー・フォーチュン(1999年製作の映画)
3.3
ロバート・アルトマン監督によって製作された1999年のアメリカ映画

アメリカには数えきれないぐらい映画監督がいるが、ロバート・アルトマン監督は、数少ない本物の映画を撮る監督だったと思う。だから、彼の作品にはいつも豪華な俳優が出演したがり、集まっていたのだろう。

アルトマンといったら、数十人もの登場人物からなるブラックユーモアに溢れた群像劇が代名詞だが、今回はブラックユーモアは健在だが、登場人物は少ない群像劇になっている。さらに、いつもと違うのはぬくもりのある内容になっているところ。

クッキーを世話しているチャールズ・S・ダットン演じるウィリスの優しさは、すごく感動する。そんな彼が事件の容疑者になっちゃうんだからとんでもない。彼の無実を確信しているリヴ・タイラー演じるエマやネッド・ビーティ演じるボイル保安官も素敵な人たちだ。特に、保安官が無実を信じる理由がたまらなく素敵

エマの母親で、姉のグレンの言いなりになっていて、どこかぬけてる女性、コーラを演じたジュリアン・ムーア。演技派の彼女のコミカルな芝居は楽しいし、このキャラクターが意外にもすごい結末をもたらすのも笑えた。

事件を偽装する嫌な女であるカミールを演じたグレン・クローズ。むかつかせる俳優は名優だと思っているが、この人は悪女を演じる天才だ。最近も海外ドラマ「ダメージ」で活躍しているが、この女優の怪演がこの作品を傑作にしている。

他にもクリス・オドネルやアルトマン作品には欠かせないライル・ラヴェットなども出演している。これだけの豪華なキャストにも関わらず、それぞれの俳優の個性を出しつつ、1人を悪目立ちさせないのは、群像劇を得意とするアルトマンだからこそ

登場人物が多い群像劇は、理解が追いつかないから苦手っていう人はよくいるが、この作品はアルトマンの群像劇では登場人物が少ない上に、内容も解りやすい。アルトマン作品を未体験の人にお薦めできる傑作!
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