フジマークス

ハウルの動く城のフジマークスのネタバレレビュー・内容・結末

ハウルの動く城(2004年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ソフィはおばあちゃんになってもすぐに「ここには住めないわね」と言って住処を後にする。現代の人間であれば、部屋に篭って「もう死ぬしかない」とでも言いそうなところ、ソフィはどんな状況でも生きることが当然であることに驚く。
それまでは涙も流さなかったが、ソフィの好意にハウルが文句を言ってうなだれていると、ソフィは突然大泣きする。
ここで、ソフィは自分がおばあちゃんであるかどうかよりも、ハウルに対する気持ちを心理的動機として行動していることがわかる。
ハウルや荒地の魔女は、巻き込まれていく形で戦争に参加していき、ハウルの身もどんどん危うくなっていく。
直接的な反戦表現はあまりない。一方で、ソフィと荒地の魔女が階段を登るシーンでは、明らかに荒地の魔女が魅力的に描かれている。対して国王は荒地の魔女を仕留め、さらにはハウルとソフィに対峙するようなふるまいをする。そこに注目すると、戦争を導く存在としての国家が、ハウルやソフィと主観を共有する観客からは否定的に受け止められる対象として描かれているように思える。
そのような形で、ソフィやハウルを邪魔する存在として戦争や国家が機能しながら、やはり重要に描かれるのはソフィの驚くべきほど活力のあるふるまいである。それはソフィのように生きるべきだという宮崎駿の語りである。
そしてソフィは、最も男前なハウルに事実上のプロポーズをされるという形で、極めて祝福される。
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