mitakosama

ハウルの動く城のmitakosamaのレビュー・感想・評価

ハウルの動く城(2004年製作の映画)
3.3
宮崎作品ではこれが一番イマイチだったなぁ。
特報第1弾ではすげー面白そうだったのに。やっぱり当初の企画通り細田守に監督続投させれば良かったのに。駿が人の仕事をぶんどったのも悪いが、それを認めたプロデューサーの鈴木敏夫が一番の罪悪だよ。

お陰で出来上がった映画は焦点の定まらないぼんやりしたストーリーになってしまった。脚本や絵コンテをキチンと作らず、物語をその場その場で構築するスタイルが裏目に出たとも思う。
問題は、肝心のハウルが何がしたいのかが一切伝わらない事。何が目的で魔法を使い、何が問題だったのか、なぜソフィーに惹かれたのか?なぜ改心したのか?改心した事でどんな心境の変化があったのか?なにも説明されてない。
「映画は見る側が解釈するべきで、説明過多じゃないから良い」とはいうけどさ、心理描写の比喩になる物を画面に置いたりともない。そもそも行動に一貫性がなさ過ぎる。
「この映画は実はとても深い」ともいうが本当にそうかぁ?

ソフィーはまだ良い。巻き込れ型ヒロインが、能動的に変化するのは理にかなってる。
荒地の魔女は、退治される悪者の設定だったが、最後は老婆になって介護される様になる。

この時期に宮崎がやたら発言していた“老人介護問題”が如実に現れた結果、思いっきりオリジナル設定として取り入れられ、話が改変されちゃった。
「悪役を倒してメデタシメデタシ」という話にしたく無い、という主張からなんだろうが…
むしろ介護を甘く見てるのは監督の方なんじゃないのか?
歳とったら人が良くなるなんてそれこそ幻想だよ。
「心臓を返して」と言われションボリして大人しく返す、なんて絶対嘘だよ。リアルな痴ほう老人は絶対自分の物と思った物は手渡さないし、無理矢理取り上げたらギャンギャン喚く。その相手をして消耗するのが介護だろ。

ソフィーが年寄りになるが、結局ラストでハウルと結ばれるのは髪だけ白くなったカワイイ少女。ディズニープリンセスのフェミニズム問題と一緒でさ、王子様と結ばれる事がヒロインの幸せでは女性に主体性が無い、って事になる。
結局若いソフィーとハウルが結ばれるハッピーエンドだったら、何も新しさがないじゃん。老婆のソフィーと結ばれるならまだしも。

ハウルの声にキムタクですか…思った程悪く無いという評価なんだろうけど、それでもくぐもってて聞き取りづらいな。
REDLINEは結構良かったのに。

やっぱり細田で見たかったよ。この時期の鈴木敏夫の仕事は本当に嫌。
mitakosama

mitakosama