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ハウルの動く城のlilillのネタバレレビュー・内容・結末

ハウルの動く城(2004年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

前見たけど、小説の参考としてもう一度鑑賞。全く話を忘れていますた。
自由を求める魔法使いハウルと、下町のしがない帽子屋のソフィーの愛の成長の物語。
戦争の軸と、サリマン・荒地の魔女・ハウルの二軸の戦いがあるから少し複雑な脚本構成になっていて、わかりづらいと言われているのはそこだと思う。
戦争に利用されていたハウルはいつもサリマンや荒地の魔女など、自分の道を行く上で対峙しなくてはならない存在から逃げていた。しかし、ソフィーやソフィーの生まれた街、マルクルなどの家族を守るために、終盤は逃げずに戦うのが、ダメ男の成長感じられていいね。男でも、ハウル頑張ってるなぁと思うんだから、女の子がハウルにガチ恋しちゃうのもわかる。
また、ソフィーがハウルの話をしたり、ハウルを想っている描写で、おばあちゃんから元の姿に戻っているため、荒地の魔女に架けられた呪いを解く方法は、「恋をすること」だと考えて良いでしょう。
ここは、作者の「恋は人間を最も若々しくさせてくれる」というロマンティックな思想を感じる。
ただ、映画内でそれが明言されていないこと、ソフィーが冒頭荒地に行った時に行っていた「末の妹がそこにいる」と言った伏線の未回収が、少しもやっとする(ハウルが戦争から帰ってきていっていた、三下だが怪物になってもう人間に戻ることはないだろうと言っていた魔法使いかなとは想った)。
ハウルや荒地の魔女などの魔法使いが、耽美的思想なの、ほぼなんでも実現しうる力を得た人間が、奪われたら自我を失うほど求め続けているのが「若く美しくいること」なのが、矮小な人間味に溢れてて、皮肉効いていい。

ソフィーは「対外的な要因で自分の本心を抑圧されている、本当は自由や冒険を求める女の子。うまくいかないことや周りとの下等差異にめげずに、好きな人を助けるためには勇敢に行動できる(がんばれる)。しかし、その過程でもちろんめげそうになったり、辛くなって泣いたり閉じ籠ったりもする。だが、結局それさえも愛の力が超越して行動のエネルギーとなる。」
ジブリ(というか宮崎駿)はこの類のいわゆる「かわいそうな境遇の女の子」を描くのが本当にうまくて変態なんだろうなと思う。
今回の小説の主人公をそういうヒロインにしたいから、参考になりました。参考にはなるけど、作品としてめっちゃ面白いかと言われたら、度肝抜かれるほどではない。世界観の「野暮ったさ」「幻想的で美しい」のバランスが良いね。
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