マーくんパパ

生きてゐる孫六のマーくんパパのレビュー・感想・評価

生きてゐる孫六(1943年製作の映画)
3.7
木下惠介出身地である浜松市、三方ヶ原合戦から始まりこの地の旧家の因習(祟りがあるから戦時といえども開墾させない)に囚われた人々や所持する先祖伝来の名刀(関の孫六)を譲って欲しいと東京からやって来た軍医らを絡めた群像劇。短い合戦シーンにも相当な予算使っていそうな作り様に驚かされる。合戦から軍事教練シーンに移り教官の上原謙が“御国に尽くすこととは…”の大和魂を述べ出す下りから最後、食糧増産の為に因習に囚われずに開墾を許す旧家の当主で目出たく終わることで軍部に睨まれる事は回避する配慮を備えつつ、決して戦意高揚のために作ったのではない事も雰囲気からよく分かる苦肉の策を弄した作品。気を病んでる当主(ホントは戦争行きたくない?)やら結婚許されない旧家雇い人と鍛冶屋の娘等、因習と弱者を描きたいところをトーン抑えて時局に合わせたバランス感覚は評価してイイんじゃないかな。