ミシンそば

浮気なカロリーヌのミシンそばのレビュー・感想・評価

浮気なカロリーヌ(1953年製作の映画)
3.3
フランス最初のテクノカラー映画の一本で、50年代に人気を博したマルティーヌ・キャロル主演作で、日本では前編が未公開ながら本作は本国フランスで公開されてから僅か9か月で日本でも公開されている続編モノ(割りと戦後すぐで2年待ちとかザラな時期にも関わらず)。

1796年の第一次イタリア遠征を背景に、パリから呼び寄せられた将軍の妻カロリーヌが、当地で出会ったハンサムなダンサーに惹かれて――とあらすじが書かれているからカロリーヌは奔放な悪女なのかな?と最初思ったが、寧ろ割りと貞淑だった。もっと最初から夫を蔑ろにしてガツガツ行くと期待したら確実に肩透かしを食らう(夫を裏切るのは最後だけで、その裏切りに関してもそうと言っていいのか分からないレベル)。
(あと、カロリーヌのキャラクターバックボーンに、フランス革命の恐怖政治時期を大過なくやり過ごしたって言うのがあるようだ)。

50年代初頭の映画にも関わらず、マルティーヌ・キャロルがB地区を惜しげもなく晒すシーンがある(この時代によくやったな)。
その他の「分かりやすい」お色気シーンも、割りとコミカルな形で挟まれるため、基本的にはこの映画はコメディで、気軽に観れると言っていいだろう。

フランス革命時代の軍服は、テクノカラーのギラギラによく映えている。
ただし、時代考証に関してはそんなに期待すべきではない。
(確実にナポレオン着任後の戦線なので、一度街を陥落させてしまったカロリーヌの夫は普通ならナポレオンに確実に銃殺されてるし、そもそも占領地でイタリア人の反仏感情も考えずに豪奢に振る舞えば反乱も起こされよう)。
(実在の将軍で後に帝政元帥になるマッセナの名前こそ出ているが本人は出て来ず、登場する将校も全員オリジナルキャラクター)。