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13歳の夏に僕は生まれたのtulpenのレビュー・感想・評価

13歳の夏に僕は生まれた(2005年製作の映画)
3.5

主人公の13歳のサンドロが大人の世界に足を踏み入れると、そこではたくさんのなぜ?が彼をおそってきます。
そして、彼なりに悟ったことがこの原題につながっていきます。

<未知なる世界の友と出会い、生きる意味を知った夏>

オープニングでTOM WAITSの「Ruby's Arms」が流れどこかの壁一面に描かれたたくさんの絵が映し出されていく。(この壁は難民収容センターの壁だった)
この曲の歌詞は知らないけれどトムの別れた恋人(リッキー・リー・ジョーンズ)との決別の歌なんだとか・・・。

何度か観ていた予告でも流れていたので楽しみにはしていたんだけど、まさか冒頭からくるとは・・・これでぐぅ~っと映画に入り込んでいけました。

北イタリアの裕福な家庭に生まれ育った少年サンドロ、
13歳の夏に父親と地中海クルージングに出かけ過って海に転落してしまう。
遠ざかっていくヨットに助けを求めるが力尽き、海の底に沈みかけていたところを何者かに助けられる。
目覚めた所は、様々な国籍の不法移民たちがひしめく密航船。
彼を救っってくれたのはルーマニア人の少年ラドゥだった・・・ 。

クロアチア、モンテネグロ、クルド、アルバニア、インド、スリランカ、モロッコ、スーダンなど、様々な国籍の難民たちがひしめきあう船上でサンドロが見てしまったこれまでとはまったく違った世界、生き残るための試練。
彼は父も母もいないこの海で、もう1度生まれた・・・。


全てが未知の世界だった頃の自分、
何が自分を支えてくれるのかもわからなかった子どもの頃。
そんなことを思い出しながら迎えたエンディング。
ちょっと切ない余韻の残るものでした。「ここがラストだな」と思った瞬間にエンドロールが流れた。。

映画の後で、
真っ先に聴きたいと思ったのは映画の中でも使われていたマイケル・ナイマンの「ピアノ・レッスン」 でした。


静岡シネギャラリーにて。
2006.10/4 (81) 通算933
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