RyoS

午後の五時のRyoSのレビュー・感想・評価

午後の五時(2003年製作の映画)
4.0
またしてもイスラーム映画祭で傑作に出会ってしまった。

アメリカがアフガニスタンに侵攻し始めた翌年の映画。女性の人権を描いていて、映画の建付けとしては完全にフィクションなはずなのだが、アフガニスタンの状況が色濃くにじみ出ていてドキュメンタリーのよう。ヒールの音、水の音など音の演出が印象的。

ストーリー展開はめちゃシンプルでありながらも難民やフランス兵とのやり取りなど、随所に入るエピソードが演出として素晴らしすぎる。

最近の大衆的な映画と比べるとめちゃめちゃ時間の流れがゆっくりなのだが、そこが妙にドキュメンタリーっぽいところなのかもしれない。時間を嫌でも感じさせられるが、これは比較的余裕のある主人公(=大半が西側であろう観客)が目の前を生きることで精一杯の多くの人々を見て感じていることな気がする。

アフガニスタンの引きの映像がどこまでもスター・ウォーズのタトゥイーンに似ている。背後に流れる諦観混じりの切ない希望もそれと一緒。
RyoS

RyoS