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四十七人の刺客の福福吉吉のレビュー・感想・評価

四十七人の刺客(1994年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
江戸時代の元禄14年(1701年)、江戸城で浅野内匠頭が吉良上野介に刃傷沙汰を起こし、浅野内匠頭はその理由が明らかにされないまま即日切腹し、赤穂藩は取り潰しとなった。その裏では幕府で権力を持つ柳沢吉保と米沢藩の色部又四郎の暗躍があった。赤穂藩筆頭家老・大石内蔵助は赤穂藩の取り潰しに粛々と従いながら、吉良上野介の首をとり、幕府に面目を叩き潰そうとする。

◆感想◆
時代劇でこれ以上ない豪華な俳優陣で製作されており、古典的な「忠臣蔵」とは一風異なる味つけで赤穂事件を描いています。

ストーリーは重めで、幕府側の色部又四郎(中井貴一)と赤穂藩の大石内蔵助(高倉健)の謀略戦を描きながら、その中で関係を余儀なくされる大石内蔵助に関わる女性たちの姿を同時に描いており、明るさと暗さのバランスが良く、観やすくてそれでいてヒリヒリするような謀略戦の駆け引きを楽しめました。

また、本作のストーリーの特徴として、浅野内匠頭が吉良上野介(西村晃)を切った理由が最後まで明らかにされないことがあります。理由が不明であることを利用して、大石内蔵助が吉良上野介の悪評を流布して赤穂藩側に正義があるように見せかける展開は面白かったです。

そして、吉良上野介との決戦の描き方が実に戦略的で面白かったです。赤穂藩士が襲ってくることに備えて、吉良の屋敷が迷路や罠に溢れていて、時間をかけても吉良になかなか辿り着かないところが戦略的で面白かった。

大石内蔵助と女性たちのドラマの部分は少し薄目で、毛筆屋の娘・はる(宮沢りえ)との恋模様も描かれますが、あくまで副次的な位置づけのストーリーだったように感じました。他にも妻のりく(浅丘ルリ子)との関係ももう少し描写があって良かった気がします。

本作の「忠臣蔵」はとても新鮮で、タイトルどおり、忠義を果たすという意味合いよりも吉良上野介への復讐として赤穂藩士全員が刺客として活躍した作品であったと思います。とても面白かったと思います。

鑑賞日:2023年8月16日
鑑賞方法:CS WOWOWプラス
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