けーはち

四十七人の刺客のけーはちのレビュー・感想・評価

四十七人の刺客(1994年製作の映画)
3.0
定番時代劇「忠臣蔵」が語られる時のコア=武士道・忠義・人情劇といった日本人好みの美談テイストをあえてハズし、一方的な処断を下した公儀への反抗、テロ事件として捉え、そこへ至る陰謀や暗闘をドライに綴る「四十七人の刺客」だが、映画化に際して当時の豪華話題性重視オールスターキャストで座組されたため主旨にあわなかったかチグハグな印象。経済戦・謀略・情報戦やシステマティックな戦闘準備を描くシーンは映画ではあっさりで、高倉健は渋いが例によって何やっても無口で不器用な健さんで、老獪な大石内蔵助どころか時代劇自体合わないし、エセ京都弁で愛らしさを振りまく妾・宮沢りえ(ヘアヌード直後の人気絶頂期)とのロマンスも尺を取る意味はさほどない。要塞化した吉良邸の仕掛けは面白いが、斬られると血飛沫だけは一丁前でスピード感と迫力に欠ける殺陣が続く。ただ吉良側の石坂浩二と白塗りの中井貴一は本作では際立って良い。