『忠臣蔵』(1958年)鑑賞翌日に、もう一本「忠臣蔵」を観ておこうと選んだのがこの作品。
従来の“仇討ち”という要素を薄め、「大石率いる赤穂藩」vs「色部を軸とする幕府側」という構図における権謀術数を描いている。その試みは悪くないが、ならば“実直さ”が役者として最大の売りの高倉健を起用したのは間違いだったのではないだろうか。
当時60歳過ぎの高倉健が演じる大石内蔵助にはさすがに無理があったし、ましてや当時20歳過ぎの宮沢りえとの恋愛模様には気色悪さすら感じた。
冷徹さと神経質さを前面に押し出した中井貴一の奇妙なメイクも興ざめ。彼なら演技だけでそうした佇まいを表現できたはず。