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モード家の一夜のフクのレビュー・感想・評価

モード家の一夜(1968年製作の映画)
5.0
ジャン=ルイ・トランティニャンがフランス人としては珍しい内向的な役どころで、友人の別れた妻であるフランソワーズ・ファビアンと成り行きで二人きりで一夜を共にすることになるのだが、思い切りが悪過ぎる上に結局何もせず仕舞いのトランティニャンに対してはフランソワーズ・ファビアンならずともいらいらしてしまった。
当時としては時代遅れ感のあった熱心なカトリック信者である彼は、そこまで友人を交えて宗教や信仰について議論しており、その中で自らのカトリック的態度を強めに主張していただけに整合性の取れない行動がしにくいという事情があったとはいえである。
その翌朝パリの市中で教会で見かけて一目惚れ中の女性に偶然出会い無事デートに誘うことに成功し、更には後に結婚することになるのだが、もし前の晩友人の元妻と事をしてしまっていたらどうなったのか、確実に運命が変わっていた訳で、「六つの教訓語」シリーズの第3作である本作が示す「教訓」とは何だろうなどと考えるにつれ誠に興味が尽きない。
ネストール・アルメンドロス撮影によるモノクロ映像の趣深さも含め忘れ難い作品。
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