山科晃一

モード家の一夜の山科晃一のレビュー・感想・評価

モード家の一夜(1968年製作の映画)
4.2
エリック・ロメール監督『モード家の一夜』(1968)
DVDにて鑑賞。

ロメール「六つの教訓語」シリーズの第3作で、
2人の女との交信の中でひとつの運命を知覚する男の物語。

時代背景に一夫一婦制を神聖なものとするローマ普遍教会の権威の衰退があり、教会を離れた知識人たちが、街で女をナンパし始めた! というような映画の切り込み方が痛快だった。

「愛より主義が大事なのね」と女に批判されてしまうほど饒舌に愛の理論を展開していた男が結局"どうするのか"というところに滑稽さや緊張感が宿り、"そうしたのか"というところで、いっきに弛緩して、何事もなかったような普遍的な光景へと集約していく流れは圧巻だった。
山科晃一

山科晃一