ぶみ

ザ・インタープリターのぶみのレビュー・感想・評価

ザ・インタープリター(2005年製作の映画)
3.0
哀しみは、これで終わりにしたかった。

シドニー・ポラック監督、ニコール・キッドマン、ショーン・ペン主演によるサスペンス。
国連通訳として働く主人公が、偶然アフリカのマトボ共和国大統領暗殺計画を聞いてしまったことから、様々な出来事に巻き込まれる姿を描く。
主人公となる国連で働く通訳シルヴィアをキッドマン、彼女を警護することとなるシークレットサービスのケラーをペンが演じているほか、キャサリン・キーナー、イェスパー・クリステンセン、イヴァン・アタル等が登場。
物語は、国連で通訳として働くシルヴィアと、マトボ共和国大統領の警護に就くケラーの物語が同時進行、その二人の過去が徐々に明かされ、距離が近づいていくまでの前半は、会話劇や人物関係の説明が中心となるため、あまり物語が動かず、少々退屈してしまったのだが、後半は一転、ヒリヒリするような追跡劇あり、爆発ありと、サスペンス色強目の展開に舵を切って行くこととなる。
また、キッドマンとペンの二人が主演で、かつ警護する側、される側という役回りだと得てして中途半端な恋愛関係に発展しそうなものなのだが、そうならずに、二人の立ち位置を一貫させていたのは良かったところ。
何より、トム・クルーズとの離婚後、演技派としてステップアップしていく途中のキッドマンのキリッとした眉毛を筆頭とした美貌を携えた才女ぶりと、これまた円熟みや凄みを感じさせるペンの演技は、それだけでも観る価値あり。
加えて、なかなか許可が出ない国連の内部で撮影されたとされる映像は貴重なものであり、これまた見どころの一つ。
社会派ドラマとして卒なくまとめられており、扱っているテーマほど重苦しさも感じられないため、前半のモッサリ感がないと記憶に残る作品となったであろうとともに、何気に出演していたポラック監督の遺作として目に焼き付けておきたい一作。

生きてここから出られない。
ぶみ

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