実はこれはたまの映画ではない。
元たまの映画だ。
たま時代の映像はなく、95年に脱退した柳原を除く元たまの3人の現在を切り取ったもの。
だからたまというバンドについてはあえて詳しくは書かない。
正直僕はそれほどコアなファンというわけではないし、
YouTubeを漁るなりCDを買うなりして実際に聴いてもらったほうがよくわかるだろう。
彼らは才能にもチャンスにも恵まれていた。
日本のポピュラーミュージックの歴史に名を刻んでてもおかしくなかった。
今でも彼らは4人とも音楽だけで生活できているらしい。
それだけでとても幸せなことなのかもしれない。
しかしなんとも言えない寂しさのような思いを感じずにはいられない。
ではヒット曲を連発していたら良かったのかと聞かれれば素直にうんとは言えない。
売れ線狙いだとか、前衛性だとか、音楽を批評する時にはよく議題にあがることではあるが、
結局そこに明確な正解を求めることは難しい。
ただ、知久が漏らした柳原に対する思いを聞くと、
「たまのさよなら人類」をもう聴くことができないということはとても悲しいことだな、とだけはハッキリと感じる。