チッコーネ

青い乳房のチッコーネのレビュー・感想・評価

青い乳房(1958年製作の映画)
4.0
和紙が背景のタイトルロールは松竹か東宝のホームドラマのよう、妙に素直な小林旭にも監督作らしからぬ雰囲気を覚えていたのだが、彼が発した「おばさん」の一言から、様子が一変。
その後、ホームドラマと呼ぶにはあまりにサスペンスフルな展開へと雪崩れ込む。

アプレの暴走描写には一歩踏み込んだ残酷が横溢、青春ラブストーリーを盛り上げる甘い演出も付け加えるなど怒涛のごった煮だが、珍味ギリギリのところで全体がしっかりまとめ上げられていた。
さらに初井言榮の珍しいよろめき、渡辺美佐子と二谷英明の長回し、高橋とよ登場のお産場面まで、全編が見どころの連続である(小林旭と小高雄二の白い海パン姿も…、小林についてはどこか暗喩的なもっこり接写も有)。

ヒロインの渡辺美佐子には「そんなに美女かよ」と難癖をつけたくなるのだが、本作で与えられたのは「彼女の代表作」と呼んで差し支えないほどの良い役。
耐え忍びつつも強い芯を覗かせるキャラクターを、魅力的に演じている。