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バードのadeamのレビュー・感想・評価

バード(1988年製作の映画)
2.0
イーストウッドの監督としてのキャリアにおけるターニングポイントとなった伝記映画。
自身の制作会社のB級映画で自作自演してファンを喜ばせるのではなく、裏方に徹して批評面で成功を収め、演出家としての確かな才能を評価されたことは、数年後のオスカー受賞を予感させるものでした。
伝説的なジャズサックス奏者チャーリー・パーカーの生涯を過度に装飾することなく、出来事を淡々と積み上げていく手法は00年代後半からの十八番となる実話に基づく物語を描くスタンスの源流を見るような気がしました。
しかし時間軸を行き来する構成は今ひとつで、回想の中でさらに回想するという構造の分かりにくさだけでなく、冒頭の自殺未遂に至るまでの時の流れによる感情変化が伝わりにくくなっている印象でした。
イーストウッドが描く音楽に命をかけた男の物語としては先行する「センチメンタルアドベンチャー」の方が、音楽業界での成功と家庭の幸せを両立する難しさを描いた物語なら後の「ジャージーボーイズ」の方が胸に響きました。
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