KeigoSato

アポロ13のKeigoSatoのレビュー・感想・評価

アポロ13(1995年製作の映画)
4.2
Filmarks評価3.7?
もっと高くて良いでしょう。

1970年に打ち上げられたアポロ13号で実際に起こった爆発事故と宇宙飛行士3人の奇跡の生還を描くヒューマン・ドラマ。

“結末が分かっていても尚の感動”

トム・ハンクス演じる主人公ジム・ラヴェル宇宙飛行士はアポロ8号で人類史上初めて月周回軌道を周り、月の裏側を初めて見た人間となった人物。11号でもバックアップクルー、つまり予備搭乗員の船長となっていて、もしかしたら月の上を初めて歩いて人類史に名を残すのはアームストロング船長じゃなくて彼だったかもしれない。

そんな彼だからこそ今回のこの13号の月面着陸ミッションに懸けた思いは強かっただろう。しかし、知っての通り、事故によって地球への帰還を命じられ、宇宙船は月面着陸着陸コースではなく軌道周回コースへ。つまり彼は2度も月面を目の前にしているのに、結局そこを歩くことは叶わないのだ。この映画の名シーンの1つは月の裏側を通っていく宇宙船の船内で、眼下を通過していく月面をラヴェル船長が窓から静かに眺めているシーン。実際のフライトでラヴェル船長はこの時どんな気持ちでいたのだろうか。彼のキャリアを知ってこのシーンを観返すと、単に「残念」という言葉では語れない複雑な気持ちになる。

それともう1つ。事故に直面してるアポロ13号の船内は勿論だが、地球でその事故に必死で対応しているヒューストン管制センターでも熱い男のドラマがあったことを忘れてはならない。特にエド・ハリス演じる冷静沈着な飛行管理責任者ジーン・クランツが本当に頼もしくてカッコ良い。慌てふためく部下の管制官達を前に「失敗は選択肢にない」とまで言い切るその姿は理想のリーダーそのもの。やっぱりこういう緊急事態の時は上に立つ人間がしっかりしていないとと改めて感じることが出来た。

宇宙の飛行士達と、地球のヒューストン、この2つのチームがひとつになることによって成し遂げられた帰還。NASAは凄い。まさに輝かしい失敗(successful failure)だ。傑作。
KeigoSato

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